朝、牛舎に行くと、産まれたての子牛がぷるぷるしながら鳴いていたなんてことはよくあった。
産まれた瞬間に立ち会えたとしても、すでにほとんど体が出ている状態からしか見たことがなかった。
ところが今日、搾乳を終えて、出産前の牛がいる牛舎に行くと、おしりから水風船のようなものが出ている牛を発見。

おぉ!
これは、マンガ「動物のお医者さん」で見た、「ソクホウ」というやつでは!?
たまたま来ていた酪農ヘルパーさんに聞くと、順調にいけば1時間くらいで出てくるとのこと。
つうわけで、ソッコーで仕事を終わらせて、カメラを撮りに行った。

戻ってきたら、片足の先っちょが出ていた。
ところが、これではまずい。
両足がそろって出てくるのが正常らしい。
中に入っている足が曲がっていたら難産になってしまう。

ヘルパーさん、もう一方の足を探すの図。

無事、両足発見。
ロープをかけて、引っ張る準備。
結構すぐ引っ張っちゃうのね。

大人の男性2人がかりで引っ張っても大丈夫なんて、なんて丈夫なんでしょ。
やっぱ、牛ってたくましいわぁ。

足が出てきたよー。

頭も出てきた!

もうちょいもうちょい!

すぽん!
ほかほか〜。

すぐに母牛の前に連れて行ってあげる。
母牛はすぐに立ち上がって、一生懸命子牛をなめてあげる。
写真には写っていないが、ちゃんとへその緒をかじり切っていた。
えらいなぁ。

母牛から搾った栄養たっぷりの初乳を飲ませてあげる。
まだぷるぷるして、首も上げられなかったのに、一生懸命飲む。
本っ当ーにたくましいのね。

その直後には、もうだいぶしっかりした顔つきになった。
夕方、ふたたび牛舎に行くと、すでにしゃきっと立ち上がってうろうろしていた。
本当にさっき産まれたばっかりか?っていうくらい元気だった。
こういうとき、農家さんだったら作業に追われて写真なんか撮っている場合ではないだろう。
私は部外者ならではの余裕で、じっくり撮らせていただいて本当にありがたかった。
なにより、安産でよかった。
おかん牛、お疲れ様!